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これまでとまったく違う新しいタイプのゾンビたち
いきなりゾンビと暮らせと言われたら、あなたはどうしますか? 今回は「リビングデッドキッチン」という一風変わったゾンビ漫画をご紹介します。 ゾンビ漫画と言えば、突如ゾンビ化した人や生き物が暴れ回るのが定番ですが、この作品は違います。 凄くほのぼのとしていて、ゾンビに癒されるという新体験が味わえます。 これまでとは違ったゾンビ作品をお求めの方、癒しを求めている方、是非この作品をお読みください。 面白い体験ができるはずですよ。
目次
それでは新感覚ゾンビ漫画「リビングデッドキッチン」の魅力を一緒に見ていきましょう。いきなりゾンビと暮らすことになった主人公の生活の変化や、ゾンビとはどんな生き物なのかも一緒にご紹介します。
※多少のネタバレを含みますが、その点はご容赦ください。
多忙な父親とほとんど顔を合わせることなく暮らしていた高校生・橘誠一。物語は彼の元に1枚の手紙が届いたことから始まります。そこには父親からの“寂しくさせてすまない”というメッセージと共に、衝撃の一言が。
「ゾンビと一緒に頑張ってくれ」
あまりにも雑なメッセージに呆然とするのも束の間、顔を上げるとそこにいたのは子供のゾンビ、しかも双子。こうして普通だった誠一の生活は、双子のゾンビとの共同生活という特別なものへと変わっていきました。
何度読んでも誠一の父親のざっくり感に驚かされます。この世界のゾンビも“人を襲う凶暴な動く死体”という大原則は変わりません。なので最初にした「生き物」という紹介は正確ではありませんが、完全に間違っているとも言えない事情があります。
なぜならこの世界のゾンビは、長い戦いと研究の末に攻撃性と感染性を除去することに成功した、いわば無害な隣人だからです。
他作品ではなしえていない偉業を達成した世界、それが「リビングデッドキッチン」の世界というわけですね。
とはいえ、ゾンビと暮らすというのはこの世界においても普通ではないです。しかもこのゾンビ、喋りますし、ある程度自分の判断で行動します。本能の方が強いので理性的な行動は苦手ですが、小さな子供や賢い動物レベルのコミュニケーションをとることは可能です。
まだまだ偏見も多い世界で、双子のゾンビと奇妙な共同生活を送ることになった誠一。怖いと思う反面、ちょっと誠一が羨ましいですね。
これまで数多くのゾンビ作品がありました。喋ったりするゾンビも数多くいました。しかしこれほど可愛らしく癒されるゾンビは、見た事がありません。
上記にもありますが、行動は理性よりも本能の方が強いです。その行動は生前の記憶や体験にも左右されます。
だからこそ何をするか分からない怖さがあるのですが、双子のゾンビはその行動が可愛い。誠一が入っているトイレの電気を付けたり消したり、扉を叩いたりとまるで猫のいたずらのような行動をとります。
それだけでも十分可愛く癒されますね。
ゾンビの印象としては何も覚えず本能だけで行動しそうですが、意外と礼儀正しいのがこの2人。多少の言い間違いや抜けている部分はありますが、いただきますやお帰りが言えます。
ほのぼのとした行動や、少しずつ言葉を覚える様子も、なんだか子供が育っていくようで微笑ましいです。
この世界のゾンビは夜行性で、朝は動きが鈍くなります。夜は元気に歩き回るのですが朝は這いずり回っていて、その様子はまるでホラー映画を見ているようです。
漫画ではデフォルメされているので可愛いですが、実際に死体が這いずり回っていたら分かっていても悲鳴を上げる自信があります。
ゾンビの食事シーンがあるのですが、猟奇的なシーンではないので安心してください。普通に人間と同じ食事をとります。その際に美味しいものを食べて恍惚とした表情を浮かべるのです。つまりゾンビには味覚もあるということですね。
これを果たしてゾンビと呼んでいいのか分かりませんが、とても可愛いので是非見てください。
ゾンビは現実には存在しません。だから誠一にも感情移入はしにくいはずなのですが、いつの間にか彼の気持ちが分かってしまいます。ゾンビの行動が動物や子供を思い起こさせるというのも一つの要因ですが、単純に心理描写が上手いからです。
作者の黒田じっこ先生は前作「明日はともだちじゃない」で友達と恋人の間で揺れる微妙な恋心を、見事に描いていました。その経験がいかんなく発揮された結果、誠一の気持ちが手に取るように分かるのです。
ゾンビが何を考えているのかは分かりません。ゾンビは自分の気持ちを饒舌に伝える事も、モノローグでの語りも一切ないからです。これもまた誠一の気持ちが分かる要因ですね。
この世界でゾンビと共に暮らす人々は彼らが何を考え、感じ、行動しているのかを真剣に考えないと何もできません。相手を思いやる大切さも教えてくれる、本当に新しいゾンビ漫画です。
誠一のように、何も知らない状態でいきなりゾンビと暮らせと言われても、どうしていいか分かりません。しかし彼は知らないからこそ少しずつゾンビを知り、やがてその生活に責任を持ち、楽しむようになります。
ゾンビに限らず、友人でもペットでも知らないから知っていける喜びがある。それは自分だけでなく相手も同じなのかもしれません。
是非「リビングデッドキッチン」の世界で知る喜びを体験し、ゾンビの可愛さに癒されてくださいね!