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生と死、人間の欲望を衝撃的に描いた10代の男女の複雑なお話
90年代を代表する漫画界の奇才、岡崎京子さんによる話題作です。2018年に実写映画が公開されました。いじめ、暴力、セックス、ドラッグなど、センシティブな題材で、読者を惹きつける内容を盛り込んだ奇抜な作品です。発表されてから20年以上経った今なおファンの多い、この作品の魅力をお届けします。
主人公は高校2年生のハルナで、友達のルミちん、よっちゃんと仲良しな女の子。ハルナには観音崎君という彼氏がいて、彼は少し不良でありいじめっ子で、山田君という男の子をしょっちゅういじめています。これだけ見ると、普通の高校生の恋愛漫画に見えますが、どんどん人間関係が複雑に絡み合っていきます。
ハルナは実はもう観音崎君に冷めてきていて、山田君がいじめられていると観音崎君をひどく怒ります。山田君と仲良くなっていくハルナを見て、嫉妬した観音崎君のいじめはどんどんエスカレートしていきます。
山田君は、観音崎君を中心にかなり激しくいじめられます。学校のロッカーに半日以上閉じ込められたり、ズボンとトランクスを引っぺがされて誰も来ない旧校舎に放置されたりと、なかなかハードです。漫画に出てくるいじめられっ子というのは、自分に自信がなくて孤立しているイメージですが、彼は堂々として自立しています。
美少年で女子から人気があり、それがさらに不良少年のいじめの標的になる要素になってしまいます。ハルナとどんどん仲良くなりますが、同級生のカンナという彼女もいて、さらに1学年下のモデル・吉川こずえともできているという噂のある、なかなかのプレイボーイです。
ハルナと仲良くなった山田君は自分の秘密の宝物を見せてあげる、と言います。学校ウラの藪の中にそれはあるといい、夜を待って2人は出かけます。2人が一緒にいることが増え、カンナはそれにひどく嫉妬しますが、山田君の前では楽しそうに振る舞うことしかできず、怒りはハルナへの嫌がらせに変わっていきます。
藪のなかで2人が見たものは、人間のミイラ化した死体でした。ハルナは動揺を隠せませんが、しばらく2人で死体をながめます。「こわい」とか「気持ち悪い」という感情もあるなかで変に落ち着いた、不思議な空間が2人を包みます。
山田君はこの死体を見ると勇気が出ると、ハルナに言います。また、この死体の前で吉川こずえとバッタリ会ったこともあると言い、この死体は彼女の宝物でもあるそうです。山田君と吉川こずえは感性が似ているところを感じます。普通は見つけた時点で通報するものですが、彼らにはそういうことは関係ないのです。
その後、藪の中に大金が埋まっているというウワサが流れ、学校中の生徒が藪の中を探し始めたので、残念ながらこの死体は、みんなに見つかる前に埋めることになり、見られなくなってしまいます。
ハルナは冷めてはいるけれど観音崎君の彼女であり、山田君にはカンナという彼女がいます。ハルナと山田君が惹かれ合っていくのかと思いきや、山田君は実はゲイだとハルナに打ち明けます。これはカンナには内緒で、山田君は本当に悪いけどズルしているんだ、と言います。彼には別に好きな男の子がいるのです。また吉川こずえも、山田君と秘密の宝物を共有する仲で親密ですが、彼女はレズビアンでハルナに惹かれていきます。
ハルナの友人・ルミちんは、38才妻子持ちと不倫関係にあるものの、実は観音崎君の浮気相手でもあります。観音崎君は薬物の売人であり、ルミちんと密会しては2人でドラッグとセックスに溺れるのです。この時観音崎君は、ルミちんのことをハルナに会えない時の穴埋めくらいにしか思っていないようですが、ルミちんは少しハルナに嫉妬してるように見えます。
彼女は子供の頃から芸能活動をしていて、美人でスタイル抜群の売れっ子モデルですが、実は彼女にも秘密はあります。完璧に見えますが実は過食・嘔吐を繰り返し、しょっちゅう保健室で寝ているのです。彼女は食べることで欲求と不安とストレスを忘れ、その後キレイに全てを吐き出しているのです。そしてレズビアンです。10代でそれらを人に打ち明けるのは難しいですが、彼女はハルナに打ち明け、ハルナが好きだと告白します。
作中の登場人物はみんなどこか落ち着いていて、自信が溢れているところがあり、一人ひとりが自己主張をしっかりしているところが魅力です。
死体をながめながら、自分が生きてるのか死んでるのか、本当にこれは死体なのかと思いを巡らせますが、実際にこの作中では人が死んだり、死にかけたりします。
まず観音崎君との言い合いがヒートアップしたルミちんが、藪の中で首を絞められ、意識を失います。死体は埋めてしまい見られなくなったので、これを聞いた吉川こずえは「新しい死体が見つかった!」と大喜びします。ただルミちんはこの後息を吹き返すので、死にはしないです。
一方で嫉妬に狂ったカンナは、ハルナに嫌がらせの手紙を送りつけた挙げ句、なんと家を放火しようとします。結果自分に火がついてしまい、彼女は焼け死んでしまいます。しかし生前、山田君の気を引きたくておしゃべりだった彼女を山田君はうっとうしく思っていたので、死んでからの彼女のほうがずっと好きだといいます。
独特な世界観で生と死を見つめる一人ひとりの感性が、なぜか読んでいて心地よい不思議な作品です。