19世紀中央アジアの人々の生活を描く『乙嫁語り』 

19世紀中央アジアの人々の生活を描く『乙嫁語り』 

嫁ぐ(とつぐ)とは、何なのか?

19世紀中央アジアの人々の生活を描く『乙嫁語り』 

今回ご紹介する漫画は「乙嫁語り」です。 舞台は19世紀中央アジアで、タイトルからも分かるように結婚がテーマの漫画ですね。ただ、嫁にいく「嫁ぐ」という現代人からすると少し封建的な部分があります。 今の結婚は恋愛結婚が主になっているので、父親が結婚相手を決めることは少ないですよね。 しかし、乙嫁語りでは、様々な女性が嫁ぐことを描いています。 現代とは違うその姿ですが、時代や地域が違っても結婚を意識する女性は同じ。 結果的に現代の結婚する女性の心境にも触れているのではないでしょうか。

 

乙嫁語りのストーリー

さてストーリーのあらすじですが、12歳の少年カルルクのもとに20歳の女性アミルが嫁いできたところから始まります。
最初から驚きですが、この時代の結婚適齢期は15歳前後なのでアミルは遅く嫁いだほうになるのです。

現代日本だったら少し、いやかなり問題になりそうな二人の結婚ですよね。
乙嫁語りの世界では、ちょっとお嫁さんが歳を取ってるなくらいの認識なのです。

私達と全く違う文化は、現地でしか味わうことが出来ないですよね?
でもそんな事はなく、作品を読むだけで違う文化に触れることが出来るんだと教えられた作品です。

それでも全くの異文化というわけではありません。
登場人物の中に、カルルクの家に居候しているイギリス人冒険家のスミスがいます。
スミスの文化は現代の私達と似ているので、彼が説明役の立場として振る舞っているのですよ。

そのスミスも未亡人との恋愛に発展したりと、なかなかに激しいイベントを起こしてくれます。
ニヤニヤが止まらないのも乙嫁語りの面白さですね。

小さい単位での文化の違いを楽しもう

ここからは乙嫁語りの楽しみ方をご紹介しましょう。
乙嫁語りはその名の通り、何人もの乙嫁が登場します。
それは、いくつもの家庭が存在するということです。
家庭ごとに違った文化を見るのが面白いのです。

日本でも昔は家庭によって文化が違うものがありましたよね?
例えば味噌汁に大根を入れる家庭と入れない家庭がありました。
それって普段は気にしないようなことでしたよね。

乙嫁語りの世界では、そんな家庭特有の文化を細かく書き分けているのです。
メインキャラの友人や親戚にさえ、文化の違いが垣間見えます。

どの家庭も細かなこだわりがあるのだと再確認させてくれる漫画なのです。

"19世紀中央アジア版のサザエさん“という例えが分かりやすいかもしれませんね。

といってもテーマが乙嫁なだけあって、男女の関係も取り上げられています。
直接的な表現はありませんが、夫婦ですから色々とありますよね、色々と。

ラブでコメディーな要素も!

乙嫁語りの中で、私が一番好きなキャラクターとして挙げられるのがアミルの友人パリヤです。
このパリヤはこの時代の女子力ステータス一位の刺繍が苦手。
愛想が無くて言いたいことをずけずけ言うせいで嫁ぎ先が決まらない不幸な少女です。


(パリヤは刺繍をするとイライラするそうです)

作品全体として、ただ生きていくだけで大変な労力がかかる土地なうえに戦争の影もあるという、重たい時代背景です。
その中でもパリヤの存在がホッと安心させてくれるような明るい話が多いのです。
パリヤ本人からすれば、上手くいかない花嫁修業やお見合いの破綻で散々なのですが。

パリヤは結婚願望こそあるのですが、男性を意識し過ぎて空回りしてしまう少女です。
実の親からも女子力の無さを指摘されてしまうパリヤですが、最近ではようやく報われてきました。

パリヤの恋愛模様は見ていて胸がキュンキュンするようなお話です。
たまに爆笑するような行動も起こしてくれますよ。
布団にくるまって落ち込む姿は、おもわず噴き出してしまいました。


(気になる人にガサツな姿を見られた翌日のパリヤ)

真面目な乙嫁語りにラブコメの要素を振り撒く、一般人代表のパリヤ。
乙嫁語りを読む時のオススメポイントとして、パリヤというキャラクターは絶対に外せないですよ。

さて、私が考える漫画としての乙嫁語りのココが凄いというところをご紹介していきましょう。

もはや芸術の域、驚異的な書き込み量

乙嫁語りの作者は本格的メイド漫画「エマ」で有名な森薫先生ですね。
森先生の漫画はストーリーが面白いのは当然なのですが、なんといってもその書き込み量の多さです。
本作品でも刺繍やアクセサリーがこれでもかと登場しますが、そんなところまで描くの?と驚きの連続ですよ。
登場人物達の普段着の刺繍の線の数が尋常ではありません。

森先生本人は、そんな刺繍の線を描き込んでいる時が幸せというお人。
やはり凄い作品を作る人は、色んな意味で凄い人だと思います。

これだけの書き込みを前にして、これは漫画ですと紹介するのも変な感じがしますね。
まさに芸術作品と言っても過言ではありませんね。


(第1話1ページからこの書き込み量です)

夢物語ではない、納得させるだけの取材力

このお話の舞台は19世紀の中央アジアの部族のお話です。
なかなかテーマとして取り扱われることが少ない時代設定ですよね。

そんなマニアックな設定ですが、森先生は実際に当時の資料を調べたり現地取材に行って、この作品を描かれています。
ですからファンタジー感が全くありません。

よくある歴史漫画では、本当にこんな文化があったのか?と疑いたくなるようなシーンも存在しますよね。
乙嫁語りでは、そのようなシーンがありません。

私達が見たことも聞いたこともない文化や時代の話のはずなのに、読んでいて違和感が無いのです。
あぁそういえばこの時代はこんな文化だったなと、知らないはずなのに知っている感覚に陥ります。
この不思議な感覚を是非、読んで味わって頂きたいですね。

まとめ

いかがだったでしょうか?
現在も連載中な為、キャラクター達の生活や行動なども初期の頃とは大分変わってきました。

カルルクが自分を鍛える為に起こした行動とは?
居候のスミスは、カルルク達の家から次の目的地へと旅立っていますが、その旅先で失恋したと思いきや?
パリヤの恋の行方は?

私も早く続きを読みたくてウズウズしています。

掲載誌がそこまで有名ではないため一般的な知名度こそ低いのですが、内容の面白さは折り紙付き。
ひとつの芸術作品として、歴史や文化を学ぶため、様々な恋愛模様を楽しむため。