『MASTERキートン』

『MASTERキートン』

今読んでも余裕で面白い大人の漫画を紹介!あの人物も高評価!!

『MASTERキートン』

漫画のジャンルといえば、以前は「スポーツ」、「恋愛」、「アクション」、「ギャグ」、「歴史」などが鉄板でしたが、ここ数年は「お仕事系」のカテゴリが台頭してきました。 業界人、サラリーマン、警察、料理人・・・さまざまな職業の主人公が描かれていますが、そのなかでもき異彩を放つのが『MASTERキートン』。 『20世紀少年』、『MONSTER』など、小学館・ビッグコミックスのレーベルでもロングセラー作を生み出し続ける浦澤直樹氏が1980年代後半~90年代前半に手掛けた作品[*1]で、保険会社の調査員をしている中年男を主軸にしています。 マンガのレビュアーとしても活躍しているあの堀江貴文氏が「大好きなマンガのベスト10には間違いなく入るマンガだ、いや、ベスト5、ベスト3くらいに入れてもいいくらい」[*2]と評価するほどで、2014年には20年越しに続編の単行本もリリースされました。 根強いファンが多いことでも知られる、本作の魅力を追いかけてみましょう。

 

MASTERキートン・あらすじ

バツイチの平賀・キートン太一は、考古学の道を模索中の中年。

何かと娘の百合子に叱咤されているが、こう見えて日英のハーフでパブリックスクールからオックスフォード大に進んだエリートだ。

大学非常勤講師の職を足掛かりに本格的に研究者へ転身を真剣に考えるも、悲願は成就せぬまま。
娘との生活と、夢の遺跡発掘実現に向けての資金づくりで、教鞭と副業を掛け持ちしてきた。

そのもうひとつの仕事というのが「オプ」。英国にある保険会社の機関からのオファーを受ける保険調査員だ。

この世界をまたにかける探偵業は、順調そのもの。

いかに難解で危険なケースであろうとも、彼の知力と武力をもってすればクリアできる・・・そんな評判が広がって、皮肉にも副業で引く手あまたになるのであった。

その、どんな修羅場でも切り抜けるキートンの芸当には彼が持つもうひとつの顔が関係していた。

ちょっとしたひねりのある設定が光るMASTERキートン

キートンがしがない中年男で一見、ヒーローから遠い人物である点が目を引きます。

遺跡発掘のロマンを抱くも、機会に恵まれないまま何年もやり過ごし、その道を模索する大学でも非常勤講師どまり。

一方、副業ではそこそこの成功を収めており、周囲にはサイドビジネスがむしろ本業だろうと思われている始末です。

そのビジネスというのが単なる探偵ではありません。英国の大手保険機関からご指名の調査員というステイタスに、興味深いものを感じます。

ちょっとした荒事も難なくクリアできるのは、キートンが英国陸軍に入隊した経験を持つからこそ。この元軍人というもうひとつの背景も、見落とせません。

王道のヒーローとは一線を画した魅力を持つ主人公の平賀・キートン・太一

英国陸軍特殊部隊で戦績を上げてきた経歴もまた、この地味メンな主人公からは想像しがたくギャップにツボを突かれます。

しかも、軍に入隊した原因が学生結婚した妻との離婚で、己を鍛えなおすとためという…男気があるのか?ないのか?よくわからない動機で志願。

別れてから何年たっても、元嫁に未練タラタラというおまけつきです。

母方の血筋が英国良家で、知性にあふれて戦闘力も相当であるというハイスペックな男のはずが、読者からは「どこか惜しい人」認定されてしまう…。

そんなキートンの王道から外れたヒーロー像は、物語のアクセントになっています。

MASTERキートンには地味なようで多彩な楽しみ方ができる作品

考古学に思いを馳せる主人公が調査員として赴いた先々で、事件や人間模様に出くわす本作。

彼の元軍人でかつ研究者の知識や実践力が、オプの仕事に生かされ問題を解決していく流れです。

このキートンが大学の教員、保険調査員、元軍人という3つの顔を持つ多彩さが、物語にあらわれている点も見どころ。

人間ドラマが基本で歴史ミステリーの展開もありますが、考古学をフックにした話あり、ミリタリー色が入る回あり、ホラー&サスペンスありと読者を飽きさせません。

手持ちの道具で即席武器を作り、何か国語も操る…地味なようでバイタリティあふれる中年男を主人公に据えたMASTERキートンには、多岐にわたるエンタティンメントが詰まっています。

大人のツボを突いてきくるMASTERキートン。1話完結で読みやすさも◎

成人向け漫画誌であるビッグコミックオリジナル(小学館)で発表されていたMASTERキートン。

基本的に1話完結で進むタイプなだけに、まさに忙しい大人でも読みやすい作品です。

単話でストーリーを作るからこそ、ひとつの世界観でミステリー回ありアクション回ありとさまざまなジャンルを満喫することができるのです。

また、歴史からサバイバルまで多くの豆知識を得ることができるのも、MASTERキートンの作風。

読み終わった後に自分が一段階賢くなったような充実感が味わうことできる回もあって、大人ウケする漫画を言えます。

30年以上前に連載が始まった本作。保険調査員というお仕事漫画の切り口や、大人の知識欲を満たしてくれるスタイルは今読んでも新しいと感じられます。

[*1]原案・原作に関しては浦澤氏のほか勝鹿北星、長崎 尚志両氏が名を連ねる
[*2]引用:マンガ新聞『MASTERキートンReマスター』遅すぎた名作のリバイバル※2017年11月16日公開記事