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本記事では、『それでも町は廻っている』(通称それ町)をご紹介します。 著者は、現在『月刊アフタヌーン』で『天国大魔境』を連載中の石黒正数氏。 2005年から2016年まで『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)で連載されていたコメディ漫画(全16巻)で、2013年には第17回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞、2018年には第49回星雲賞コミック部門を受賞しています。 ちょっぴり不思議でおもしろい物語の魅力をぜひご覧ください!
目次
舞台は、人情味あふれる丸子商店街とその中にある一風変わったメイド喫茶「シーサイド」。
探偵にあこがれる女子高生の主人公・嵐山歩鳥やその家族、学校の友人、商店街の人々たちの間で起こる様々な日常が描かれています。
しかし、彼女たちの「日常」のなかには様々な「非日常」が潜んでおり、宇宙人や幽霊、摩訶不思議な超常現象などが人々の周辺に存在。
にも関らず、彼女たちはそんなことには一切気づかないまま、いつも通りの時間が過ぎていきます。
常に様々な非日常に囲まれながら”それでも町は廻っている”。そんな丸子商店街なのでありました。
この作品が読者を惹きつけるポイントは3つあります。
そこを注視しながら『それでも町は廻っている』を読み進めていくと、さらに物語を満喫できるのではないでしょうか。
本作では主人公の住む町のすみずみを描き、そこには様々な個性あふれるキャラクターが登場します。
家族や学校の友達や先生、はたまた商店街の店主さんや町でたまたま知り合った人など、いずれもみんな温かくてそれでいて一癖も二癖もある登場人物たちばかり。
物語を盛り上げていく彼らのなかでも主要な登場人物は、後述にて解説をしますのでぜひ魅力あふれるそれ町のキャラクターに触れてみてください。
本作では上記の魅力的なキャラクターたちの何気ない日常が描かれているのですが、ときとして町では様々な非日常が展開していきます。
しかし、彼らは決してその非日常には気がつかないまま。
それでも、彼らの時間は何事もなかったように過ぎていくのです。
いつも通りの日常と、ビックリするような非日常が見事なバランスで融合したストーリー。
それこそが、それ町の真骨頂なのではないでしょうか。
本作では作中のいたるところに別の話につながる様々な伏線が張ってあります。
といっても、作中でしっかり回収されることはあまりありません。
あくまで、気付いた読者をハッとさせる程度にさりげなく、しかし話のいたるところにそうした伏線がちりばめられています。
こうしたフラグを探しながら読み進めていくのも本作の楽しみのひとつです。
この物語をおもしろさを支えているのは何といっても、個性派の登場人物たち。
人情味豊かで、ちょっとクセのあるキャラクターを紹介しましょう。
本作の主人公で、探偵にあこがれる小説家志望の女子高生です。
高校入学と同時にメイド喫茶「シーサイド」でアルバイトを開始。
人懐っこい性格で見ず知らずの人ともすぐに打ち解ける事ができ、そのため彼女の周りは常に様々な人に囲まれています。
学校の成績はあまりよくなく、周りの人から小馬鹿にされることもしばしば。
しかしながら、推理好きのため観察力や洞察力は鋭く、ちょっとしたピンチをもちまえの機転で切り抜けていきます。
歩鳥のクラスメイト。
同級生の真田に恋をしており、彼がシーサイドの常連であることを知りシーサイドでアルバイトをはじめます。
容姿端麗で学校の成績もよくクラスの男子から憧れの眼差しを向けられることが多い彼女ですが、実は家などではだらしない一面が。
密かにアニメなどに興味を持っていることをひた隠しにしています。
歩鳥やトシ子のクラスメイトで、歩鳥とは幼いころからの幼馴染。
商店街の魚屋「鮮魚真田」の一人息子で、幼いころに母親を亡くしています。
密かに、歩鳥に恋をしていますがなかなか伝える事ができないまま。
一方、トシ子から恋心を抱かれていることに気づいておらず、色恋には遅れをとってしまうタイプ?!
歩鳥たちの一学年先輩で、イギリス人のクォーター。
容姿端麗、運動神経抜群で完璧超人のようでいて、オカルト好きなのにお化けが苦手。
両親を「パパ、ママ」とよんでいるなど可愛らしい一面も。
周囲の人とは壁をつくってあまり心を開こうとはしない性格ながら、歩鳥との出会いで少しずつ周囲とも打ち解けていきます。
メイド喫茶「シーサイド」のメイド長。
夫は既に他界して子供もおらず、ひとりで丸子商店街に昔ながらの喫茶店を切り盛りしてきたお婆さん。
メイド喫茶が儲かるらしいと喫茶店をメイド喫茶に改造し、「昔からただでカレーを食わせてやった」見返りとして半ば強引に歩鳥をシーサイドでアルバイトとして引き込みました。
画像でいうところの完全に酔っぱらいふたりのうち、坊主頭が魚屋で広章の父親でもある真田さんでその隣りが、手前が八百屋の菊池さん。
この両者のペースについていけない様子で、困り顔をしているのがクリーニング屋の荒井さん。
三人は高校からの付き合いで、菊池さんと真田さんは当時高校の番長。
彼らのほかにも商店街にはたくさんの個性的な人たちがおり、仕事のさぼりとして頻繁にシーサイドに訪れます。
ここでは筆者が厳選した『それ町』おすすめエピソードを2つピックアップします。
どんな話があるか気になる方はぜひご一読ください。(以下、若干のネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方は次章まで飛ばしてください。)
物語は真田が父親を問い詰めるシーンからはじまります。
なんでも、幼少のころに一度たべたとてもおいしいそばをもう一度食べたいとのことで、唯一の手掛かりはそのとき一緒にいた父親がいった「ミシンそば」という言葉のみ。
しかし、父親にはそんなものは知らないとはぐらかされてしまいます。
真田親子の会話を聞いていた歩鳥。
そのそばがあまりにもおいしそうだったので、彼女は幼馴染の彼と一緒に町を探索しそのそばの正体を突き止めようとします。
真田のかすかな記憶をたどりながら町のあちこちを練り歩くうちにふたり。
ついに「ミシンそば」の正体をつきとめます。
その結末は彼の過去に関する、すこし悲しくてあたたかい物語なのでありました。
歩鳥の弟のタケルは、小学校の課題として壁新聞を作成することになり班で話し合った結果、学校の七不思議のうちの一つ中庭の池に潜むという「メッシー」の正体を突き止めることに。
先生やクラスメイト、上級生や当時メッシーを見たという歩鳥の知り合いにいたるまで徹底的にメッシーの目撃証言を調査したタケルたち。
その結果、用務員が池に自分の飼っている熱帯魚を放したところ、池のフナをすべて食いつくしてしまったため生徒を池に近づけさせまいとした苦肉の策だったことが判明。
とっさに彼が「メッシーがでる」嘘をついたことをタケルたちは突き止めるのでした。
物語はここで一段落かと思われましたが、最後には衝撃の真実が明らかになります。
ここまで『それでも町は廻っている』を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
丸子商店街の人々の日常の中に様々な非日常が存在しているように、もしかしたら私たちの日常の裏にも本作で描かれているような非日常があるかもしれませんね。
この記事でそれ町に興味を持っていただけたならぜひ、手に取って頂きたいです。
石黒正数氏ならではの「それ町」ワールドを体感し、作品にハマってください!