他に類を見ない本格オカルトミステリーBL漫画『先生、怖い話しませんか』

他に類を見ない本格オカルトミステリーBL漫画『先生、怖い話しませんか』

ホラーも濡れ場もたっぷり楽しめる

他に類を見ない本格オカルトミステリーBL漫画『先生、怖い話しませんか』

数あるBL漫画の中にも、ホラーを売りにしている作品はたくさん存在します。その中でも特に異彩を放っているのがこの、霧間もっこり著『先生、怖い話しませんか』という作品です。BLという枠を超えて、オカルトミステリーという枠にすっぽりと嵌めることができる、稀有な存在であるこの漫画の魅力を、余すところなくお伝えいたします。

 

『先生、怖い話しませんか』とはどんな作品なのか?

ある出来事がきっかけで勤めていた高校を離れ、別の学校に赴任してきた主人公・緋月礼二。

彼は着任早々、生徒の「桜庭先生の霊が出る」という噂話を耳に。

その得体の知れぬ存在になったとされる人物が、行方不明になった前任の国語教師であることを知った主人公は、不本意ながらも失踪の原因を作ったと思われる生徒と関係を持ってしまいます。

それをきっかけに、己が身に変化が起きた上に自分の意思とは関係なくに次々と不可思議な騒動に巻き込まれていくのでありました。

ここまでがあらずじですが、読み進めていくと教師の失踪事件、そこに見え隠れする土地神の伝承に加え、主人公の体に何が起きていてその原因は何なのか?謎や超自然現象が錯綜して目が離せません。

BLには欠かせない濡れ場もたっぷり登場し、独特の世界観が楽しめる作品です。

『先生、怖い話しませんか』の主要登場人物はこのふたり


オカルトミステリーを個性的な物語へと押し上げているのは、主軸のキャラクターにほかなりません。
『先生、怖い話しませんか』というタイトルからも察することができる通り、先生と生徒を中心に物語が進んでいきます。
まずは、このふたりを紹介しましょう。

主人公の教師・緋月礼二

自分ではごく平凡な教師だと思い込んでいて、なるべくトラブルには巻き込まれたくないと傍観する姿勢を保とうとしているタイプ。
そのくせ、以前から巻き込まれ体質で流され体質。前の職場である高校でも意図せぬことで転任に追いやられます。

今回の舞台となる町に移ってからは不思議な夢を見たり、 誰もいないのにもかかわらず声が聞こえたり、体に変化が起こったりと、いつも以上に自身では理解不能&収拾がつかない状況に。

トラブルメーカーで有名な担任クラスの学生・真ヶ崎と不本意ながら肉体関係を持つことによって、性的に興奮すると瞳の色が変化することが発覚。ことあるごとに無意識に男を惑わすことに 。

学校の問題児・真ヶ崎恭一

学校のなかでは、万引き暴行なんでもありの要注意人物とされている男子生徒。

国語準備室を寝床にしていたことで、前任の国語教師が失踪したのは、彼が殺したからではないかという噂が。

緋月に初めて会った当日に「あんた綺麗だ。抱いてみたい」と言って無理やり関係を持ってしいます。懲りずにその後も強引に関係を持ちますが、緋月がピンチの時には現れ救ってくれるという、ある意味ヒーロー的存在に。

主人公とは異なった種類の特別な何かを持っているようにも見え、つかみどころのない人物。

作中のオカルトなエピソードたち

原作は単話配信でリリースされていた作品の先生、怖い話しませんか』。

1話目は設定の説明や、舞台になっている土地に伝わる物語全体通してリンクしてくる古くから信仰と、主人公と奇妙な関係になる男子生徒が遠巻きにされている原因のひとつになったオカルト要素が描かれています。

2話目以降も各話に超自然現象やホラーを配置。オカルトのエピソード同志が関連しているケースもあって、理解を深めるほどに楽しむことができる点も魅力です。

土地の信仰対象『双月様』


双月様とは『朱月様』と『蒼月様』からなる土地神。

この二神は二心一柱の双月様が二つに切られたことによって、二人に別れたとされています。

『朱月様』は縁結びの神でもありながら、一方で子供を蘇らすことができるという古い言い伝えが残っています。

この片方が、主軸の人物が何か縁を匂わせている点も見落とせません。

桜庭先生の霊


国語準備室に現れるという噂の国語教師の霊。

緋月が目撃することによってそれが噂でないことがわかります。

「止まらない」と言って血まみれの腹部を押さえる彼女は、一体何を伝えようとしているのでしょうか。

願いの叶う絵本


昔から学校の七不思議的な話として語り継がれてきた、見つけた人の*願いを叶えてくれるという絵本が噂話の域から、騒ぎ発展しつつあるというときのこと。

真ヶ崎の留年を阻止すべく図書室で補講を行っていた緋月の前に、実物が現れます。

軽い気持ちで願いを口にした緋月でしたが、なんだかおかしな方向に事が進んでしまい・・・

呪いの桜

久しぶりに咲いたといういわくつきの桜。その下でお花見の最中に出会った学生服を着た青年は、自分のことを『呪いの桜』だと言います。

緋月のことを気に入った彼は、緋月を神通力の溢れるえらい神様ではないのかと言い、一緒にいようと主人公を誘惑。このまま流されてしまうのかと思われた時、現れた真ヶ崎と『呪いの桜』の因縁が明らかに。

事件の終結


宿直当番になった緋月は体調不良の中、学校に泊まることに。

その時に同僚から『アサミさんの呪い』という、とある女子生徒にまつわる話を聞きます。

胸騒ぎにそわそわしつつ、主人公が宿直を変わってもらわなかった事を後悔していた矢先、怪奇現象に見舞われるハメに。

そこでたくさんの人影とともに姿を現わす桜庭先生。もう事件は解決して成仏したものとばかり思っていた彼女ですが、主人公にメッセージを残します。

もう、ただただ恐ろしさに打ち震える緋月。絶体絶命のピンチというとき、たまたま教室で居眠りをしていた真ヶ崎が姿を見せます。

そこから物語はまさに怒涛のような展開!新たに発覚した事実、意外な人の思いもよらないような過去。そこに土地神信仰も加わって、クライマックスへ向け加速していきます。

最後に

今までBLホラーといえば、妖(あやかし)や妖怪が出てくるものが多く、幽霊と言っても血みどろの幽霊を目にしたことはほぼありませんでした。この作品で作者は新たなBLの道を開いたと言っても過言ではないでしょう。

関係のなさそうなエピソードも謎をつなげる伏線としての役目を果たし、徐々に紐解かれていく謎を追う過程を存分に楽しめます。

そして特筆すべき点はもう一つ、作者の画力の高さ!それゆえに作品の不気味さが一層際立ち、情事では非常に動きのあるエロチックな場面が描かれています。

綿密に組み立てられたプロットで作り上げられたホラーと、BLならではのしっかりとした濡れ場は必見。受け手が考えて想像すればするほど面白さを発見できるタイプの作品です。

思考と感性を使う場面も少なくありませんが、むしろそこも楽しんでこその1冊。BLファンでもそうでなくとも、お手に取って頂きたいです!