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「虚構推理」は怪異の知恵の神になった少女と不老不死と未来予知の力を持つ青年が、怪異にまつわるトラブルを虚構の推理を使い解決する、怪奇ミステリー漫画です。 小説からコミカライズを経て2020年にアニメ化と、着実にファンを拡大している注目作をチェックしましょう。
目次
ヒロインの岩永琴子は世間一般の評価としては名家の出身で、年齢より幼く見える美少女。
11才の頃誘拐された時に目と足を欠損した状態で発見された過去を持つ人物です。
実はその傷、怪異の知恵の神になったときに払った代償。神となった彼女はあらゆる場所の怪異から姫として慕われ、人ならぬ存在の彼らにまつわるトラブルの収拾に尽力しています。
ちなみに琴子が一目一足(いちがんいっそく)なのは、クエビコという古事記に出てくる神様に由来しているのだとか。
この一足や一眼は、古来から神や神の言葉を聞く巫女の条件としても珍しくないそうです。
己の一部を差し出したことで払い神となったヒロインですが、その地位を得たところで正直あまりメリットが多いとは思えません。
情報収集や日常の細々した事に怪異たちが手を貸してくれることはあるものの、ときに体を張ることもある神としての仕事は危険が多すぎるためです。
それでも琴子が知恵の神をつとめあげようとすのは、怪異たちの世界にある秩序を守りたいと思うからこそ。
根本的には正義感を備えた彼女ですが、お嬢様育ちのわりにざっくばらんな言動と気の強さが目立つ性格です。
見た目と内面のギャップがあるタイプのキャラクターといいましょうか。可愛い容姿に対して九郎の元カノに対するわかりやすく若干の悪意が見える嫉妬心を平気で見せたり、巨大な怪異にも挑む度胸はベタに見えても魅力的に感じます。
琴子が頭の回転がよい点も物語の肝です。
怪異たちは情報収集には欠かせない戦力でも11歳当時のヒロインに”知恵の神”になってくれとすがるくらいの知性しかないため、問題解決能力はほおゼロ。
虚構を作り上げてトラブルを解決するのは琴子自身なわけですが、使い真実をねじ曲げるためには、真実以上に納得の出来る話を作り上げないといけません。
と、なれば知識量と機転にかかってくるので琴子の長所が虚構からのトラブル解決を支えているということがわかりますね。
草食系な雰囲気でありながら奇妙な生命力を感じさせる青年・桜川九郎。彼は11才の時に怪異の肉を食べて特異な力を得ました。
彼が食べたのは言わずと知れた不老不死伝説を持つ人魚と、死ぬときに不吉な予言を残すとの言い伝えがある頭部と胴体が牛と人間でわかれている分かれているあやかしの件(くだん)。
この人ならざる両者を身の内に取り込んだことにより、死の淵に立っても再生するカラダと未来決定能力が備わりました。
ただし、九郎の未来を意のままに決める力はそう便利なものではなく、彼が死んだときにしか発動しないというネックもあります。
Aのパターンを選んだ未来を読んでは死に、Bのパターンを選んだ未来を読んでは死ぬ・・・この繰り返しで正解を引き当てていくカラダを張った戦法が彼のスタイル。
このように過酷な戦いを淡々とこなし、ダークヒーロー的なかっこよさが光っています。
そんな彼の琴子に対する態度は、甘い関係だった元カノに比べると扱いがかなり雑。
とはいえ、彼女への信頼もありますし守りたいという気持ちも見えにくながらも確実に存在していることもわかります。
人外である九郎をなんの躊躇いもなく受け入れ、その怪異を素直にスゴいものとして評価する琴子と、彼女の作った虚構を真実に出来る可能性がわずかでもあるのなら自分が掴みとってくるという姿勢の九郎。
そんな二人のゆらぎない関係は唯一無二のようで、自然と見ている側は胸躍る感覚になります。
さて、この作品はタイトルに「推理」と入っていますが、一般的な推理物とは異なります。
探偵役が事象の成り行きを紐解いて浮かび上がった真実を語って万人を納得させるたぐいではありません。
本当の事は横において、それっぽい理屈を話して他の人たちを納得させるギミックを用いていきます。
オカルト要素を含んだミステリーはありますが、従来の作品はほどんどが一定の法則があるのに対して虚構推理はそういった型(かた)がないままに物語が進んでいく独特の世界観。
例えば、『DEATH NOTE』。現実には存在しないルールでも、そこに法則があればそれに基づいた推理は可能ですし、読者も展開を読むことが出来ました。『魔人探偵脳噛ネウロ』のように主人公がオカルトな存在でも他が常人なパターンもありますよね。
その点、虚構推理はオカルト対オカルトの構図でオカルト要素は法則やルールがなく、言ってしまえば何でもありの理不尽な存在や事象と対峙していかなければなりません。
そもそも主人公コンビが怪異から協力を得て過去の情報収集も出来る琴子と、殺されようと死なず予知能力もある九郎。両者ともオカルトとしてはかなりチートな存在とも言えましょう。
なかば反則級の能力を持ちオカルト展開なら負けようがないキャラクターを主軸にしておきながら、あえて推理という枠の中に話を置くのが虚構推理の面白さではないでしょうか。
物語はどんな話か?というと「呪殺が出来る能力者の犯人がいて、殺人を犯したその人を捕まえるには?」といったイメージが近いと思います。
現在の法律では裁かれることのない呪殺。
呪いが証明できないから処罰されないだけで、悪意をもって人を殺しているのだから殺人の要件は満たしていることも確か。
ではこの犯人を捕まえようとするならば、どのような手法があるでしょうか?
例えば証拠を捏造して、犯人が普通の手段で殺人を犯したと警察に思い込ませのもひとつ。呪殺自体を証明することが出来るのならそれでもよし。
もし、同じような超能力があるなら被害者の幽霊を呼び出して犯人の罪悪感を刺激して自首を促すことも出来るかもしれません。
要はどんなものであれ「呪殺事件の発生」から「犯人逮捕」までの間を、皆が納得できるもので埋めてしまえばよいのです。
もちろん、普通に考えてその間は埋まるものではありませんが、そこは怪異の知恵の神と不死身の預言者。
先にあげた例えのような適当で安直なものではなく、主人公コンビはもっと緻密に劇的に犯人を捕らえるまで導きます。
琴子が考え出した虚構を九郎が何度も死にながら掴み取る瞬間は、バトル漫画のような燃える展開とミステリーの謎解きが決まった時のスッキリした感覚を同時に味わうことができます。
また解決パートも普通の推理ものと違い、殴り合うような勢いがあって目が離せません。読んでいて、不思議な爽快感を覚える・・・そんな作品です。